中間審査が無事に終わり、
全員が揃って次のステップに進むことができました。
お盆明けからは「処理」について学んでいます。
処理とは?
ここでいう「処理」とは、音声訳の処理技術を指します。
文字で書かれた文章を音声で表現すると、
ただ音声にしただけでは欠落する情報が出てきてしまいます。
情報が聞き手に伝わらないのでは意味がありません。
音声訳が、元の内容と変わらないものであり、
かつ、最もよく聞き手に理解される方法をとる。
それが視覚に障害を持つ読者に対しての「配慮」です。
…頭ではわかってました。
ところが、実際は目の前がぐるぐるするくらい盛りだくさん!
受講後に、みんなで「はあ〜…」とため息をつくくらい。
処理の種類と量もそうなんですが
処理には「決まった正解」がないのです…。
処理の実際
音声訳をする資料は、多岐に渡ります。
それぞれに合った内容の処理が必要なので、
娯楽系に使った処理の内容は、そのまま専門書には使えません。
逆も然り。
例えば、活字符号は
くぎり符号 → 句読点やコロン、?、!など
かっこ類 → ()、「」、” ” など
強調符号 → ```、_ 、太字など
リーダーなど→ … 、-(棒線) 、など
つなぎ符号 → -(ハイフン)、〜 など
これらを音声の使い方だけで補ったり、言葉で補ったりしますが
その判断は音声訳する人がやっていきます。
もうね、ひょえ〜〜〜!の世界です。
今の時点で全てを暗記する必要はないのですが、
一応のガイドラインは講義で学びます。
前半で四苦八苦して学んだ「読み方」を使って表現するのですが
あの前半でひいひい言ってる場合じゃありませんでした…。
あれは本当に「基礎」でしかなかった…というのがよくわかります。
読めば読むほどアクセントがおかしくなっていったり、
自信がないので、探るような声になってしまったり。
しかも、言葉を補う場合には言葉のセンスも問われます。
…なんて、大変なんだろう…。
そして、それを何年もやってきているスタッフの皆さん、
本当にすごいなぁと感じました。
いや、ホントすごいです。
写真やイラスト、図表も言葉で補う
もちろん、他にも補うものはあって、
ルビ(ふりがな)や同音異義語、外国語、
略語・略記、伏字、誤植、引用、注、などなど。
ここまでを3回に分けてやってきましたが、
まだまだ言葉で表現するものがあります!
それは、写真や図、表やグラフ、イラストなどです。
こういうのも言葉で説明するんです。
ちょうどその頃に、宮城県の視聴覚障害者情報センターの
音声訳の様子をテレビで放映していました。
東日本大震災の津波の様子が載っている写真集を
音声で表現していましたが、その表現に圧倒されました…。
見開きのページに広がる、津波が街を飲み込んでいく様子を
一つ一つ細かく拾いながら音声訳していたのです。
視覚障害者の方が、次のように言われていました。
「私たちは津波が来た、と言われても、 イメージがわかないんです。
どれくらい大きかったのか、どんな被害があったのかを知りたい。
そう思っていました。」
利用者の方の声を知って、
生半可な氣持ちではできない、とちょっとビビりましたが
それだけに、正確に表現しなくてはならないんだ、と思いました。
意識の向け方が変わって来た…かも
私は「見たものを見たままに表現する」のに
普段、何も意識をしていませんでした。
それが私の当たり前だったから。
一旦意識し始めてからは、その難しさを感じています。
推測や自分の意見を入れずに、見たままをそのまま表現する難しさ。
難しくても、繰り返していくうちに慣れていくのだとは思いますが。
ですが、こうやって「意識し始める」ことで
コミュニケーションの表現自体を考え直すようになってきたかも。
もっとわかりやすい言い方はないか。
シンプルかつ的確な表現はできないか。
今の言い方で伝わっているだろうか。
自分を客観的に観察しながら、表現を選んでいくのは
脳のトレーニングにはなかなか良いです。
まだまだあっぷあっぷしてますけど。
次回も処理についての受講が続きます。
脳のトレーニングと思ってがんばろ〜