こんばんは
ついさっきまで、NHKのプロフェッショナルを見てました。
在宅ホスピス医の川越厚さんのお話し。
今年の７月に父を在宅で看取ったので、その時のことを思い出して見ていました。
排除から認める医療へ
東大のエリート医師だった川越さんは、
がんを「排除しなくてはならないもの」としてみていたそうです。
がんを専門に扱う外科医として、数百例もの手術をこなしていた方。
治せなければ、それは「医学の敗北」と感じていたと言います。
そのため、当時は患者よりも「がん」しか見ていなかったと、
自分ががんになって初めて氣づいたとか。
自身のがん手術後の体力低下で、外科の過酷な環境では働けなくなり、
在宅を行うクリニックに勤務されます。
退く医療
そこで出会ったのは、当時の川越さんと同い年の主婦のがん患者でした。
20年くらい前の話なので、当時は在宅でがん患者をケアするのは
大変だったのだそう。
それでも、自宅で最後を迎えたいという患者の希望に応えたいと、
海外の論文などを読み込んで、試行錯誤しながらやっていったのだそうです。
身体のケアはもちろんのことながら、
「死」を迎えつつあることの不安を募らせる患者と家族に寄り添って、
なるべく痛みや不快感を取り除くために頑張ったのです。
「“退く”医療ですね。
病氣を治す医療が全く無力になったとき、
同じ姿勢で医療を行ってはいけない。お迎えが来るときまで人間として生きるわけですからね。
今度は、生きていくということを大切にした医療」
この言葉を聞いて、私たち家族が辿った５ヶ月は間違っていなかったんだと思えました。
死は必要以上に怖れるものではないと思う
Amebloで５回ほど父の介護について書きましたが
この川越さんの言葉は、今だからなお、実感として心に迫ってきます。
テレビを見ながら、患者の立場、介護する立場の両方を思い出して涙が流れます。
その当時のことがはっきりと思い出されるからですが、悲しくはないんです。
ある患者さんの臨死状態を映し出していましたが、
父の臨死状態を見ていましたので、
その方の死期がもう間近なのはよくわかりました。
そして、その状態を「あたりまえ」のものとして感じている自分がいます。
みんなその状態を通るのだということ。
肉親の「死」を身近に感じてみて、
怖れるものではないとはっきり断言できる私がいます。
さいごに
川越さんは次のように言っています。
「人間というのは、その時までのいろんな希望を持つことができる存在だと。
そういう人間理解が僕の根本にある。死というものが目の前に来ても、
残されたときを家族一緒に生きるんだという喜びみたいなものを感じていける。そういうことが最期までできるように僕らが支えていく」
私たち家族も、素晴らしい在宅医の先生のおかげで、
父は穏やかな死を迎えられたと思っています。
そのパイオニアである、川越さんの考え方と行為を
一人でも多くの方に知ってもらいたいです。
再放送は、11月21日（金）午前0時40分～午前1時28分 総合 でやるそうです。
