私が所属している岩手音声訳の会では
毎月の例会があります。
そこでは音声訳に関する勉強会などをやっています。
視聴覚障がい者情報センターと連携していますし
音声訳の利用者さんには視覚に障がいのある方が多いです。
その実情を知る、というのも勉強会の中に含まれていて
昨日は「白杖の使い方」を知る、というものでした。
短い時間なので、
DVDでその概要を見てから
白杖を実際に使って部屋の内部を歩いてみる、というもの。
私たち自身が視力を失うかも、というのもありますが
白杖を持っている人をサポートする必要があるときに
どんな手助けができるのか、
無理強いしない手助けとはどんなものなのか、
それらを考えるいいきっかけになりました。
白杖歩行サポートハンドブックというテキストがあるそうで、
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そのDVDの冒頭で使われていた人形が
瞽女(ごぜ)さんが3人連なって歩く姿のものでした。
瞽女(ごぜ)は、「盲御前(めくらごぜん)」という敬称に由来する日本の女性の盲人芸能者。近世までにはほぼ全国的に活躍し、20世紀には新潟県を中心に北陸地方などを転々としながら三味線、ときには胡弓を弾き唄い、門付巡業を主として生業とした旅芸人である。女盲目(おんなめくら)と呼ばれる場合もある。
引用 : wikipedia「瞽女」より
新潟生まれの私にとって
母や伯母から瞽女さんの話を聞く機会があったので
冒頭の人形を見て、
「ん?新潟なのかな?」と思っていました。
すると、
テキストとDVD(当時はビデオ)を作成した医師が
実家の父が通っていた病院に勤務されていたと知って
なんだか一氣に親近感が(笑)
利用者の声の中には、
完全に失明していないが白杖を使っている、という方もいます。
それは、周りの人にわかってもらうため、だそう。
理由は「安全のため」
白杖=盲目の人が持っている杖
と周知されているからです。
使っていれば「目が見えないのだな」と思って
目が見える人が避けてくれるからだそう。
このことは知っていましたが、
実際の利用者の声として聞くと、
普段の私は意識しているだろうか?
と振り返ります。
そして、実際の使い方ですが…
DVDでこんな風に使います、と見ても
知っているのとやってみるのとでは大違い!
(全員がやってみましたが、
上手な方ももちろんいらっしゃいました。)
アイマスクをしたり目をつぶったりして
白杖を使って歩くのですが
難しいですね〜。
私たちがいかに「目」に頼っているかを実感します。
頼るべきは「音」と「感触」。
ですが、メインに使っていないので
なかなか頭の中も切り替わりません。
そして、目で見て判断している情報を
頭の中に記憶で描く地図として持っていないと
動くことすら怖くなってしまうと感じました。
実際、友人は
そういう状況になってしまった方の話を
聞いたことがあるのだそう。
街の様子が変わってしまっていて
ご自分の記憶と違う様子なので、
どう動いていいかわからなくなってしまったのだとか。
私もたまに家の中を目をつぶって歩くことがありますが
どこに何があるかわかっている場所だからできることで
外では相当に難しいはず。
そういう意味でも、白杖で歩かれている方はすごいです!
今回は短い時間にちょっと体験してみただけでしたが
この体験をするとしないとでは大きく違うなと感じました。
知識で頭をいっぱいにするよりも
体験を少しでも自分の身体に入れておくと
実際にどう動けばいいのか、がイメージしやすいのではないでしょうか。
とっさにサポートが必要な時に
パッと身体が動くようにしておきたい。
今回の勉強会で感じたのはそういうことでした。
特別なサポート、ではなく
当たり前の手助け、ができるように。